平成27年度京都府立医科大学附属北部医療センター病院指標
目次
Ⅰ 年齢階級別退院患者数
解説
北部医療センターが属する丹後医療圏は宮津市・与謝野町・伊根町・京丹後市の2市2町で構成され、人口は約10万1千人、65歳以上人口を示す高齢化率は約35%であり、これは京都府全体よりも約8%、全国平均よりも約9%高い数値であり、比較的少子高齢化の進んだ地域といえます。
少子高齢化、医療過疎が進む丹後医療圏において総合的かつ高度・専門的な医療を安定して提供していく為、平成25年4月より開設された京都府立医科大学付属北部医療センターは急性期病床、急な病気や怪我、持病の悪化などにより緊急で治療を必要とする患者さんの為の病床が276床、結核の患者さんの為の病床が15床、感染症により集中治療が必要な患者さんのためが4床で運営しています。また急性期病床は1日トータルで1人の看護師が7人の患者さんのケアを担当する7対1病床であり、また丹後医療圏の中で唯一、急性期でも更に集中治療を必要とする患者さんのための病床(ハイケアユニット病床)を16床設置しています。
平成27年4月1日~平成28年3月31日までの退院患者さんの年齢構成では、0歳~9歳までの患者さんの占める割合は約6%となっています。
小児肺炎や気管支炎、喘息発作などで小児科入院した患者さんが大半を占めます。また副鼻腔炎等の治療の為、耳鼻科入院した患者さんも一定数を占めます。 また地域周産期母子センターとして、新生児の入院もある程度の数を占めています。
10歳~19歳までの患者さんの占める割合は約2%、前出の小児科の他に外傷での整形外科入院、虫垂炎等での外科入院が中心となっています。
20歳~29歳までの患者さんの占める割合は約2%であり、産婦人科での入院が大半を占めます。ちなみに今回の集計に自然分娩での入院数はカウントされていません。自然分娩を含む、平成27年度の分娩件数は272件となっています。
30歳~39歳までの患者さんの占める割合は約4%、20歳代に続き、前出の産婦人科での入院が大半を占めます。
40歳~49歳までの患者さんの占める割合は約4%、子宮筋腫での産婦人科、大腸ポリープでの消化器内科など、腫瘍・ポリープなどの治療目的での入院が多くなっています。悪性腫瘍での入院も散見されます。
50歳~59歳までの患者さんの占める割合は約6%、ポリープでの消化器内科の他に腎不全での循環器内科入院、大腸がんでの外科入院などが多くなっています。
60歳~69歳までの患者さんの占める割合は約18%、胃がん・肝がんなどの消化器内科、大腸がんでの外科、前立腺がんでの泌尿器科の他に心疾患での循環器内科入院などが多くなっています。
70歳~79歳までの患者さんの占める割合は約25%、後述の80歳代と合わせると全体の半数以上の退院患者数をこの年代で占めています。前出の悪性腫瘍、心疾患入院の他に白内障での眼科、脳梗塞での神経内科、肺がんでの呼吸器内科などが多くなっています。
80歳~89歳までの患者さんの占める割合は約26%、単独では最も患者数が多い年代となっています。傾向的には70歳代と同様ですが、肺炎での内科入院、骨折での整形外科入院も多くなっています。
90歳以上の患者さんの占める割合は約7%、肺炎での内科入院、骨折での整形外科入院、心疾患での循環器内科入院などが多くなっています。長寿で知られる丹後地域の特徴として、100歳を越える患者さんの入院も散見されます。
Ⅱ 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
解説
消化器内科にて平成27年度に最も多かった疾患は「小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的消化管止血術等 定義副 傷病なし」となっています。症例としては大腸に発生したポリープに対し、内視鏡下でポリープ切除を行う「内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術」を行った症例が中心となっています。平均在院日数は全国平均とほぼ同数となっています。
2番目に多かった疾患は「胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし」となっています。症例としては胆管炎や閉塞性黄疸などの疾患に対し、内視鏡的乳頭切開術や内視鏡的胆道ステント留置術を行った症例が中心となっています。平均在院日数は全国平均とほぼ同数となっています。手術の区分としては、内視鏡的乳頭切開術が45%、内視鏡的胆道ステント留置術が31%となっています。
3番目に多かった疾患は「肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等2なし」となっています。肝がんに対し血管塞栓術治療を行った症例が中心となっています。平均在院日数は全国平均とほぼ同数となっています。
解説
循環器内科にて平成27年度に最も多かった疾患は「狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1,2あり 手術・処置等2なし」となっています。症例としては狭心症などの心疾患に対し、経皮的冠動脈形成術等を行った症例が中心となっています。平均在院日数は全国平均とほぼ同数となっています。手術の区分としては、経皮的冠動脈ステント留置術が82%、経皮的冠動脈形成術 その他のものが17%となっています。
2番目に多かった疾患は「狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等11あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし」となっています。症例としては狭心症などの心疾患に対し、心臓カテーテル法による諸検査を行った症例が中心となっています。平均在院日数は全国平均とほぼ同数となっています。
3番目に多かった疾患は「心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし」となっています。心不全に対し薬液治療を行った症例が中心となっています。全国平均よりもやや平均在院日数は長くなっています。
解説
呼吸器内科にて平成27年度に最も多かった疾患は「肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳以上)手術なし手術・処置等2なし」となっています。症例としては肺炎の患者さんに対し、点滴・吸入を中心とした治療を行った症例が中心となっています。平均在院日数は全国平均よりやや長くなっています。肺炎の区分としては、細菌性肺炎が72%、肺炎球菌肺炎が9%、その他肺炎が7%となっています。
2番目に多かった疾患は「肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり」となっています。肺がんに対し化学療法を行った症例が中心となっています。平均在院日数は全国平均より長くなっています。がんの部位として、上葉肺がんが21%、下葉肺がんが68%、小細胞肺がんが7%となっています。
3番目に多かった疾患は「肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし」となっています。肺がんに対し、疼痛コントロールなどのターミナルケアをした症例が中心となっています。全国平均よりもやや平均在院日数は長くなっています。
解説
神経内科にて平成27年度に最も多かった疾患は「脳梗塞(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等23あり 定義副傷病なし」となっています。脳梗塞はJCSと呼ばれる基準を用い、意識レベルにより重症度を区分します。JCS10は呼びかけで容易に開眼するレベルです。全国平均よりもやや平均在院日数は長くなっています。
2番目に多かった疾患は「脳梗塞(JCS10以上) 手術なし 手術・処置等23あり 定義副傷病なし」となっています。JCS20は痛み刺激で開眼するレベルです。全国平均よりも平均在院日数は長くなっています。
3番目に多かった疾患は「脳梗塞(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし」となっています。発症後3時間以内に適応されるt-PA(血栓溶解療法)治療を行った症例が中心となっています。全国平均よりも平均在院日数は長くなっています。
解説
内科にて平成27年度に最も多かった疾患は「肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳以上)手術なし手術・処置等2なし」となっています。症例としては肺炎の患者さんに対し、点滴・吸入を中心とした治療を行った症例が中心となっています。平均在院日数は全国平均より短くなっています。肺炎の区分としては、その他の肺炎が48%、細菌性肺炎が30%、肺炎球菌肺炎が5%、肺炎桿菌肺炎が5%となっています。
2番目に多かった疾患は「誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし」となっています。高齢者や脳梗塞の後遺症による影響から、唾液や食物、胃液などと口腔内の細菌を一緒に誤嚥して発症する誤嚥性肺炎が中心となっています。平均在院日数は全国平均より短くなっています。
3番目に多かった疾患は「その他の糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 定義副傷病なし」となっています。糖尿病に対し薬剤による血糖コントロール治療を行った症例が中心となっています。全国平均よりも平均在院日数は短くなっています。
解説
外科にて平成27年度に最も多かった疾患は「鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア 定義副傷病なし」となっています。症例としては15歳以上の患者さんに対し、鼠径ヘルニアにてヘルニア手術を行った症例が中心となっています。平均在院日数は全国平均とほぼ同数となっています。
2番目に多かった疾患は「結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし」となっています。大腸がんでの開腹及び腹腔鏡下での結腸切除術症例が中心となっています。がんの部位ではS状結腸が31%、上行結腸が31%、横行結腸が20%、盲腸が12%となっています。手術手技としては開腹によるものが20%、腹腔鏡下によるものが51%となっています。全国平均よりもやや平均在院日数は短くなっています。
3番目に多かった疾患は「虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 定義副傷病なし」となっています。急性虫垂炎での開腹及び腹腔鏡下での虫垂切除術症例が中心となっています。手術手技としては開腹によるものが20%、腹腔鏡下によるものが80%となっています。平均在院日数は全国平均とほぼ同数となっています。
解説
整形外科にて平成27年度に最も多かった疾患は「股関節大腿近位骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等」となっています。症例としては大腿骨骨折の患者さんに対し、骨折観血的手術(大腿)もしくは人工骨頭挿入術(股)を行った症例が中心となっています。骨折観血的手術(大腿)と人工骨頭挿入術(股)の割合は骨折観血的手術(大腿)が67%、人工骨頭挿入術(股)が28%となっています。全国平均よりもやや平均在院日数は長くなっています。主たる転院先は近隣の回復期病棟へのリハビリ目的での転院となっています。
2番目に多かった疾患は「胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 定義副傷病なし」となっています。胸椎及び腰椎の圧迫骨折への症例が中心となっています。全国平均よりもやや平均在院日数は長くなっています。主たる転院先は近隣の回復期病棟へのリハビリ目的での転院となっています。
3番目に多かった疾患は「前腕の骨折 手術あり 定義副傷病なし」となっています。橈骨及び尺骨もしくは橈骨尺骨の骨折への骨折観血的手術症例が中心となっています。橈骨及び尺骨もしくは橈骨尺骨の割合は、尺骨が3%、橈骨が85%、橈骨尺骨が12%となっています。
解説
産婦人科にて平成27年度に最も多かった疾患は「早産、切迫早産 手術なし 手術・処置等2なし」となっています。症例としては切迫早産による入院が中心となっています。平均在院日数は全国平均とほぼ同数となっています。転院は2件、高度専門病院への搬送となっています。
2番目に多かった疾患は「胎児及び胎児付属物の異常 手術なし」となっています。分娩予定日超過、前期破水による症例が中心となっています。全国平均よりもやや平均在院日数は短くなっています。
3番目に多かった疾患は「胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等」となっています。骨盤位、児頭骨盤不均衡、前期破水等の患者さんに対して帝王切開術(緊急帝王切開)を行った症例が中心となっています。平均在院日数は全国平均とほぼ同数となっています。
解説
小児科にて平成27年度に最も多かった疾患は「肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳未満) 手術・処置等2なし」となっています。症例としては小児肺炎・急性気管支炎の患者さんに対し、点滴・吸入を中心とした治療を行った症例が中心となっています。平均在院日数は全国平均とほぼ同数となっています。
2番目に多かった疾患は「喘息 手術・処置等2なし 定義副傷病なし」となっています。小児喘息などの疾患に対し点滴・吸入を中心とした治療を行った症例が中心となっています。平均在院日数は全国平均とほぼ同数となっています。
3番目に多かった疾患は妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし」となっています。新生児黄疸や新生児一過性多呼吸、新生児低血糖など出生直後の新生児疾患が中心となっています。全国平均よりもやや平均在院日数は長くなっています。
解説
眼科にて平成27年度に最も多かった疾患は「白内障、水晶体の疾患 手術あり 片眼」となっています。症例としては白内障の患者さんに対し、水晶体再建術により眼内レンズの挿入を片眼行った症例が中心となっています。平均在院日数は全国平均とほぼ同数となっています。
2番目に多かった疾患は「黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし」となっています。網膜前膜・黄斑円孔などの疾患に対し硝子体茎顕微鏡下離断術を行った症例が中心となっています。全国平均よりもやや平均在院日数は短くなっています。
3番目に多かった疾患は「硝子体疾患 手術あり 片眼」となっています。硝子体脱出の患者さんに対して硝子体切除術を行った症例が中心となっています。全国平均よりもやや平均在院日数は短くなっています。
解説
耳鼻いんこう科にて平成27年度に最も多かった疾患は「扁桃、アデノイドの慢性疾患」となっています。症例としては扁桃炎の患者さんに対し、口蓋扁桃手術により摘出を行った症例が中心となっています。全国平均よりもやや平均在院日数は短くなっています。小児の患者数が比較的多く、平均年齢が低くなっています。
2番目に多かった疾患は「慢性副鼻腔炎」となっています。慢性副鼻腔炎に対し内視鏡下に鼻・副鼻腔手術を行った症例が中心となっています。平均在院日数は全国平均とほぼ同数となっています。
3番目に多かった疾患は「前庭機能障害 手術なし」となっています。メニエール病や迷路性めまいの患者さんに対して点滴治療を行った症例が中心となっています。全国平均よりもやや平均在院日数は短くなっています。
解説
泌尿器科にて平成27年度に最も多かった疾患は「前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり」となっています。症例としては前立腺がんの疑いのある患者さんに対し、前立腺針生検法による組織採取を行い、病理診断により良性・悪性の診断を行った検査入院が中心となっています。平均在院日数は全国平均とほぼ同数となっています。
2番目に多かった疾患は「膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし」となっています。膀胱がんに対し膀胱悪性腫瘍手術を行った症例が中心となっています。全国平均よりもやや平均在院日数は短くなっています。
3番目に多かった疾患は「水腎症(その他) その他の手術あり 定義副傷病なし」となっています。尿管結石性閉塞を伴う水腎症の患者さんに対して経尿道的尿管ステント留置術を行った症例が中心となっています。全国平均よりもやや平均在院日数は短くなっています。
解説
皮膚科にて平成27年度に最も多かった疾患は「急性膿皮症 手術なし」となっています。症例としては蜂巣炎・蜂窩織炎などによる点滴入院が中心となっています。全国平均よりもやや平均在院日数は短くなっています。
2番目に多かった疾患は「皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2なし」となっています。皮膚癌に対し切除術を行った症例が中心となっています。件数としては3件です。
3番目に多かった疾患は「詳細不明の損傷等 手術なし 手術・処置等2なし」となっています。蜂刺されによるアナフィラキシーショックによる入院が中心となっています。件数としては3件です。
なお、今回の資料については10件以下のものは「-」と表記するルールとなっている為、2、3番目については非表記となっています。
Ⅲ 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
解説
がんを含む腫瘍病変は新生物疾患として分類され、北部医療センターでも最も患者数が多い疾患となっています。
なかでも悪性新生物はUICC(国際対がん連合)により取り決められた「UICC TMN分類」という手法や、各学会により取り決められた「癌取扱い規約」を用い、進行度合をStage分類として表示します。ここでは「UICC TMN分類」を用いて分類をおこなっています。TMN分類のTはがんが組織のどのあたりまで進んでいるのかという壁深達度を(原発腫瘍)、Nはがんが発生した臓器の所属するリンパ節への転移の有無を(所属リンパ節転移)、Mは発生臓器から離れた転移の有無(遠隔転移)を示し、3項目の組合わせによりStage分類を行います。
再発を含んだ件数で最も多かったがんは大腸がんで、続いて肝がん、肺がん、胃がん、乳がんとなっています。
初発のみの件数で最も多かったがんは大腸がんで、続いて肺がん、胃がん、肝がん、乳がんとなっています。
初期であるStageⅠが最も多かったのは胃がんであり、進行の進んだStageⅣが最も多かったのは肺がん、再発件数が最も多かったのは肝がんとなっていました。
Ⅳ 成人市中肺炎の重症度別患者数等
解説
肺炎は病原体感染により肺実質が炎症した状態をいいます。また、基礎疾患のない健康人に発症した肺炎を市中肺炎といい、逆に入院中の院内感染により発症した肺炎を院内肺炎といいます。また、高齢者や脳梗塞の後遺症による影響から、唾液や食物、胃液などと口腔内の細菌を一緒に誤嚥して発症する誤嚥性肺炎があります。
ここでは基礎疾患のない健康人に発症した肺炎である市中肺炎について重症度別に表示しています。重症度はA-DROPスコアという判定方法を使用しています。これは、罹患した患者さんの年齢(男性70歳以上、女性75歳以上)が何歳か、脱水症状はあるか、呼吸状態はどうか、意識状態はどうか、血圧状態はどうか、の5項目を観察し、5段階評価で分類する方法です。北部医療センターでの平成27年度の実績は重症度2~4の80歳代の患者さんが中心で、平均在院日数は重症度2が15日、重症度3が20日、重症度4が16日となっています。
参考として、高齢者に多い誤嚥して発症する誤嚥性肺炎は141件となっています。
Ⅴ 脳梗塞のICD10別患者数等
解説
脳の血管が狭窄や閉塞など、何らかの理由で血流が阻害され酸欠・栄養不足に陥り、その結果脳組織が壊死してしまった状態を脳梗塞といいます。
北部医療センターでの脳梗塞の平成27年度の発生率は全退院患者のうち2.6%であり、その中でも一過性であった症例が6件、梗塞に至った症例が159件であり、ほとんどが発生後3日以内の症例となっています。
脳梗塞としての内訳は、脳深部の非常に細かい血管が閉塞することで生じるラクナ梗塞、不整脈により心臓内で形成された血栓により脳血管が閉塞する心原性脳塞栓症、頭蓋内の血管が動脈硬化をきたすことにより生じるアテローム血栓性脳梗塞となっています。
転院先としては治療後のリハビリテーション目的のために、近隣の回復期病床への転院が中心となっています。
Ⅵ 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
解説
消化器内科で最も多かった手術は大腸ポリープに対し、内視鏡下でポリープ切除を行う「内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術」でした。
2番目は「血管塞栓術」といい、肝癌に対し、カテーテルを血管から挿入し、X線透視下に目標とする血管まで進め、この血管を特殊な物質で遮断しがん細胞を死滅させる目的の手術になります。
3番目は「内視鏡的胆道ステント留置術」といい、胆管炎や胆管癌により引き起こされる胆道狭窄に対し、内視鏡によりチューブを胆管内に留置し胆汁が腸管に流れるようにする手術となっています。
解説
循環器内科で最も多かった手術は狭心症や心筋梗塞に対して行う「経皮的冠動脈ステント留置術」でした。非開胸で経皮的に冠状動脈の狭窄を解除する手術です。「ステント」とは組織を支持する装置という意味で、バルーンにより狭窄部を拡張後、内腔側からステントで補強する方法になります。
2番目は「経皮的シャント拡張術・血栓除去術」といい、慢性腎不全で血液透析を行っている患者さんに造設された内シャントが狭窄・閉塞を起こし透析が困難となった場合に再造設の為に行われる手術です。「シャント」とは血液が本来流れるルートとは別のところを流れる状態の事であり、内シャントは血液透析時、スムーズに脱血できるよう人工的に造られたブラッドアクセスの事です。
3番目は「四肢の血管拡張術」といい、主に下肢の動脈が閉塞する下肢閉塞性動脈硬化症に対し経皮的に狭窄部を貫通、拡張する手術となっています。
解説
外科で最も多かった手術は成人の鼠径ヘルニアに対して開腹により行う「ヘルニア手術」でした。
2番目は「腹腔鏡下胆嚢摘出術」といい、胆嚢炎・胆のう結石などの患者さんに対し腹腔鏡下に行われる手術です。胆嚢摘出術としては開腹によるものが8件、腹腔鏡下が39件となっており、平均在院日数は開腹によるものが約27日、腹腔鏡下が約7日となっています。
3番目は「腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術」といい、大腸がんの患者さんに対し腹腔鏡下に切除を行う手術です。
解説
整形外科で最も多かった手術は骨折部を直接手術的に開いて整復と内固定を行う「骨折観血的手術 上腕、大腿」でした。内訳としては83%が大腿骨、14%が上腕骨に対し行われたものでした。
2番目は「人工骨頭挿入術肩、股」といい、変形性膝関節症、変形性股関節症などの患者さんに対し人工関節により再建を行う手術です。内訳としては60%が膝関節、40%が股関節に対し行われたものでした。
3番目は「骨折観血的手術前腕、下腿、手舟状骨」といい、骨折部を直接手術的に開いて整復と内固定を行う手術です。内訳としては58%が前腕、38%が下腿、4%が手舟状骨に対し行われたものでした。
解説
産婦人科で最も多かった手術は、1回以上帝王切開で分娩したことのある妊婦さんや切迫早産妊娠、骨盤位などに対して予定的に行う「帝王切開術(選択帝王切開)」でした。
2番目は「子宮附属器腫瘍摘出術(両)(腹腔鏡)」といい、卵巣のう腫・卵巣腫瘍などの患者さんに対し腹腔鏡下に行われる手術です。
3番目は「帝王切開術(緊急帝王切開)」といい、予定的に行う「帝王切開術(選択帝王切開)」に対し、前期破水や潜在胎児仮死などの場合に緊急的に行う手術です。
解説
眼科で最も多かった手術は白内障の患者さんに対して行う「水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)」の片眼でした。
2番目は「硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む)」といい、増殖性糖尿病性網膜症や網膜剥離、網膜前膜などの患者さんに行われる手術です。
3番目は「硝子体切除術」といい、硝子体脱出の患者さんに対し切除を行う手術です。
解説
耳鼻いんこう科で最も多かった手術は扁桃炎の患者さんに対して行う「口蓋扁桃手術摘出」でした。
2番目は「内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅲ型(選択的(複数洞)副鼻腔手術)」といい、慢性副鼻腔炎の患者さんに行われる複数洞への手術です。
3番目は「内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅳ型(汎副鼻腔手術)」といい、慢性副鼻腔炎の患者さんに対し行われる汎副鼻腔への手術です。
解説
泌尿器科で最も多かった手術は尿管結石性閉塞を伴う水腎症の患者さんに対して行う「経尿道的尿管ステント留置術」でした。
2番目は「膀胱悪性腫瘍手術経尿道的手術電解質溶液利用のもの」といい、膀胱癌などの患者さんに行われる手術です。
3番目は「経尿道的尿路結石除去術レーザーによるもの」といい、尿管結石症の患者さんに対し結石除去術を行う手術です。
Ⅶ その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
解説
播種性血管内凝固症候群(以降DIC)は、様々な基礎疾患を原因として全身の小血管内に血液凝固異常から血栓を形成し、それにより凝固因子が消耗され、血小板、フィブリノゲンなどが著しく低下し、皮下出血、吐血などの消化管出血や多臓器不全を引き起こす病気です。原因となる疾患は肺炎などの感染症、がん、妊娠、出産時、火傷などがあげられます。平成27年度のDICの発生率は0.2%であり、入院時に発症していた症例が3件、入院後に発症した発症が10件でした。原因となった疾患はがん、敗血症・胆管炎・腎盂腎炎などの感染症でした。
敗血症は、肺炎や腎盂腎炎など体のある部分で引き起こされた感染症から病原菌が血液中に入り込み、重篤な全身症状を引き起こす病気です。平成27年度の敗血症の発生率は0.45%であり、入院時に発症していた症例が14件、入院後に発症した発症が15件でした。原因となった疾患は肺炎・腎盂腎炎などの感染症やイレウスなどの消化管疾患等でした。
手術・処置等の合併症の平成27年度の発生率は0.91%、件数では58件でした。大半は透析用のシャント狭窄・閉塞による定期的な再手術症例でした。その他としては術後の感染症症例が6件、創部の離開・出血が2件、器具の不具合が2件でした。
更新履歴
- 平成27年度北部医療センター病院指標を公開しました。(2016/09/29)