平成29年度京都府立医科大学附属北部医療センター 病院指標
目次
集計条件
今回の集計結果を「病院情報の公表」として公開するにあたっては、医療機関ホームページガイドラインを遵守しています。
(医療広告ガイドライン)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000209841.pdf
平成29年4月1日から平成30年3月31日までの退院患者さんを集計しています。
入院した後24時間以内に死亡した患者、生後1週間以内に死亡した新生児、臓器移植は集計対象外としています。
診療科名は医療法に基づいた標榜診療科名で表記しています。
10件未満の数値の場合(0を含む)は-(ハイフン)で表記しています。
「(2)診断群分類別患者数等」について、転科があった場合には、診療科は医療資源を最も投入した傷病の担当医が所属する診療科で集計しています。
「(6)診療科別主要手術別患者数等」について、同一手術において複数の手術手技を行った場合、主たるもののみカウントしています。
「(6)診療科別主要手術別患者数等」について、創傷処理、皮膚切開術、非観血的整復術、徒手整復術などの軽微な手術は今回の集計からは対象外としています。
I 年齢階級別退院患者数
解説
北部医療センターが属する丹後医療圏は宮津市・与謝野町・伊根町・京丹後市の2市2町で構成され、人口は約10万1千人、65歳以上人口を示す高齢化率は約35%であり、これは京都府全体よりも約8%、全国平均よりも約9%高い数値であり、比較的少子高齢化の進んだ地域といえます。
少子高齢化、医療過疎が進む丹後医療圏において総合的かつ高度・専門的な医療を安定して提供していく為、平成25年4月より開設された京都府立医科大学付属北部医療センターは急性期病床、急な病気や怪我、持病の悪化などにより緊急で治療を必要とする患者さんの為の病床が276床、結核の患者さんの為の病床が15床、感染症により集中治療が必要な患者さんのためが4床で運営しています。また急性期病床は1日トータルで1人の看護師が7人の患者さんのケアを担当する7対1病床であり、また丹後医療圏の中で唯一、急性期でも更に集中治療を必要とする患者さんのための病床(ハイケアユニット病床)を16床設置しています。
平成29年4月1日から平成30年3月31日までの退院患者さんの年齢構成では、0歳から9歳までの患者さんの占める割合は約6%となっています。多くは小児科受診されたケースですが、耳鼻科や眼科、整形外科、外科で入院したケースもあります。小児肺炎や気管支炎、喘息発作、アレルギーや腸炎などで小児科入院した患者さんが大半を占めます。また地域周産期母子センターとして、新生児の入院もある程度の数を占めています。当院は2次救急医療病院として地域の救急診療の中核病院でもあるので、時間外での緊急入院の割合が高いのもこの年代の特徴です。
10歳から19歳までの患者さんの占める割合は約3%、前出喘息や肺炎、腸炎などでの小児科の他に外傷による骨折や靱帯の損傷での入院、虫垂炎等での外科入院が中心となっています。
20歳から29歳までの患者さんの占める割合は約2%であり、妊娠・出産時の疾患による産科入院と、卵巣のう腫などの疾患による婦人科入院が大半を占めます。ちなみに今回の集計に自然分娩での入院数はカウントされていません。自然分娩を含む、平成29年度の分娩件数は258件となっています。
30歳から39歳までの患者さんの占める割合は約3%、20歳代に続き、前出の産科・婦人科での入院が大半を占めます。
40歳から49歳までの患者さんの占める割合は約4%、子宮筋腫での産婦人科、大腸ポリープや胆嚢結石での消化器内科などでの入院が多くなっています。子宮頸がん、胃がん、大腸がんなどの悪性腫瘍での入院も散見されます。
50歳から59歳までの患者さんの占める割合は約7%、ポリープでの消化器内科の他に大腸癌などでの外科入院、関節の疾患などによる整形外科入院などが多くなっています。
60歳から69歳までの患者さんの占める割合は約17%、胃がん・肝がんなどの消化器内科、大腸がん・乳がん・ヘルニアなどでの外科、骨折や関節の疾患などによる整形外科の他に心疾患での循環器内科入院などが多くなっています。
70歳から79歳までの患者さんの占める割合は約26%、単独では最も患者数が多い年代となっています。後述の80歳代と合わせると全体の半数以上の退院患者数をこの年代で占めています。前出の悪性腫瘍、心疾患入院の他に白内障での眼科、脳梗塞での神経内科、肺がんや肺炎での呼吸器内科などが多くなっています。
80歳から89歳までの患者さんの占める割合は約24%、傾向的には70歳代と同様ですが、肺炎での内科入院、骨折での整形外科入院も多くなっています。
90歳以上の患者さんの占める割合は約7%、肺炎での内科入院、骨折での整形外科入院、心疾患での循環器内科入院などが多くなっています。
年齢階級別の比較として、患者総数は前年度よりも増(212症例)となっていましたが、各年代の構成比については大きな変動はあまりないという結果でした。
Ⅱ 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
解説
消化器内科にて平成29年度に最も多かった疾患は「胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし」となっています。症例としては結石による胆管炎や閉塞性黄疸などの疾患に対し、内視鏡を用いて切開を行い結石を除去したり、胆道ステントと呼ばれる管を挿入し胆汁が腸管に流れるようにする手術を行った症例が中心となっています。手術の区分としては、内視鏡的乳頭切開術が29%、内視鏡的胆道ステント留置術が43%、内視鏡的胆道結石除去術が15%となっています。
2番目に多かった疾患は「肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等2なし」となっています。肝がんに対し血管塞栓術という、カテーテルを血管から挿入し、X線透視下に目標とする血管まで進め、この血管を特殊な物質で遮断し、がん細胞を死滅させる目的の手術治療を行った症例が中心となっています。
3番目に多かった疾患は「胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 手術・処置等2なし」となっています。胃がんに対し内視鏡的に切除を行った症例が中心となっています。
4番目に多かった疾患は「誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし」となっています。誤嚥性肺炎については「Ⅳ成人市中肺炎の重症度別患者数」をご参考下さい。入院前に脳梗塞後遺症や認知症などの持病をお持ちの高齢者の患者さんが入院となる例が比較的多く、退院先として療養型の病院などに転院する事例が約10%と比較的高くなっています。
5番目に多かった疾患は「虚血性腸炎 手術なし 手術・処置等2なし」となっています。腸炎に対し補液などの薬物治療を行った症例が中心となっています。
尚、消化器内科で最も手術症例数の多かった大腸ポリープの内視鏡による切除目的での入院については、今回の集計の対象から除外されています。
解説
循環器内科にて平成29年度に最も多かった疾患は「狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等11あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし」となっています。症例としては狭心症などの心疾患に対し、心臓カテーテル法による諸検査を行った症例が中心となっています。
2番目に多かった疾患は「狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1,2あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし」となっています。症例としては狭心症などの心疾患に対し、非開胸で経皮的にバルーンやステントを挿入し冠状動脈の狭窄を解除する手術を行った症例が中心となっています。手術の区分としては、経皮的冠動脈ステント留置術が67件(うち不安定狭心症に対するもの5件、その他のもの62件)、バルーンを使用した経皮的冠動脈形成術が11件(うち不安定狭心症に対するもの1件、その他のもの5件)となっています。
同数で2番目に多かった疾患は「心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし」となっています。心不全に対し薬液治療を行った症例が中心となっています。
4番目に多かった疾患は「腎臓または尿路の感染症 手術なし 定義副傷病なし」となっています。腎盂腎炎や膀胱炎に対し補液などの薬物治療を行った症例が中心となっています。
5番目に多かった疾患は「徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1なし、1,3あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし」となっています。不整脈や心房細動に対し、経皮的に心臓に電気刺激を与えて心拍動を起こさせる装置を埋め込むペースメーカー移植術という手術をおこなった症例が中心となっています。
解説
呼吸器内科にて平成29年度に最も多かった疾患は「肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等29あり」となっています。症例としては肺がんの患者さんに対し、ベバシズマブ(アバスチン)という抗癌剤を使用し化学療法を行った症例となります。
2番目に多かった疾患は「肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし」となっています。症例としては肺がんの患者さんに対し、気管支鏡という器具を用い精査をおこなった検査入院の症例です。手術目的などで4%の患者さんが他院に転院しています。
3番目に多かった疾患は「肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし」となっています。肺がんに対し、特定の抗癌剤(アバスチン、カルボプラチンとパクリタキセル、アリムタ等)以外を使用した肺癌の化学療法になります。集計方式の関係上、一部の抗癌剤(オプジーボ、キイトルーダ、タグリッソ錠)が除外されており、その合計が13件あります。
4番目に多かった疾患は「肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし」となっています。肺がんに対し緩和ケアなどの治療目的での症例が中心となっています。
5番目に多かった疾患は「間質性肺炎 手術・処置等2なし」となっています。間質性肺炎に対し、薬物療法をした中心とした治療をおこなった症例が中心となっています。間質性肺炎とは、感染症以外の原因で肺間質と呼ばれる気管支、小葉区、胸膜などに炎症を起こした疾患です。
解説
神経内科は脳梗塞が中心となります。DPCにおいて脳梗塞は、発症時期(3日以内かどうか)、JCSという分類法により区分される意識レベル、Rankin Scaleという分類法により区分される発症前の介助の必要度と、その治療内容により区別がなされます。
神経内科にて平成29年度に最も多かった疾患は「脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2」となっています。発生後3日以内の急性期でありかつ来院時の意識レベルが呼びかけで容易に開眼するレベル以上であった状態で入院された患者さんに、ラジカットというお薬を使用して治療を行い、かつ発症前のRankin Scale(要介助度)が0~2、つまり脳梗塞を発症する前の状態が、全く症状が無いかあっても軽度であったという症例が件数としては最も多かったことになります。平均在院日数は前年度平均よりも短縮され全国平均とほぼ同数となっています。リハビリ目的で22%の患者さんが療養病院などに転院しています。
2番目に多かった疾患は「脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病1あり 発症前Rankin Scale 0、1又は2」となっています。前出の脳梗塞の症例とほぼ同様の症状で入院されかつ治療のプロセスも同等なのですが、入院前にてんかんや不整脈の疾患をお持ちであった、もしくは入院中に肺炎や尿路感染等の疾患を発症されたケースを分けて計上した症例となります。入院前や入院後に脳梗塞以外の疾患での治療があったケースですので、全国平均の平均在院日数は前出の副傷病名なしの症例よりも長くなっているのですが、当院では逆に短くなっていました。また症例件数も前年度と比較して倍増となっていました。
3番目に多かった疾患は「てんかん 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし」となっています。てんかんでの薬物治療が中心で大半が救急入院でした。
4番目に多かった疾患は「脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10以上) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2」となっています。発生後3日以内の急性期でありかつ来院時の意識レベルは呼びかけで容易に開眼するレベル以下であった状態で入院された患者さんにラジカットというお薬を使用して治療を行い、かつ発症前のRankin Scale(要介助度)が0~2であったという症例です。リハビリ目的で31%の患者さんが療養病院などに転院しています。早期の転院により平均在院日数は全国平均よりも短くなっていました。
5番目に多かった疾患は「非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし」となっています。打撲などの外的要因によらずに発生した脳出血の治療症例です。皮質下の大脳半球の脳内出血が8件、皮質の大脳半球の脳内出血が2件、小脳の出血が2件、その他が3件となっていました。リハビリ目的で31%の患者さんが療養病院などに転院しています。
解説
内科にて平成29年度に最も多かった疾患は「2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) 手術なし 手術・処置等21あり 定義副傷病なし 85歳未満」となっています。2型糖尿病の患者さんに対し、インスリン製剤を使用しての治療や栄養士による食事指導などを行った症例が中心となっています。
2番目に多かった疾患は「誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし」となっています。外来受診後緊急入院となった症例が大半です。平均在院日数は全国平均より約4日短くなっています。
3番目に多かった疾患は「腎臓または尿路の感染症 手術なし 定義副傷病なし」となっています。腎盂腎炎や膀胱炎に対し補液などの薬物治療を行った症例が中心となっています。
4番目に多かった疾患は「肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし A-DROP スコア2」となっています。75歳以上の高齢者の方が日常生活のなかで肺炎を発症され入院となった症例です。平均在院日数は全国平均より約4日短くなっています。
5番目に多かった疾患は「全身性臓器障害を伴う自己免疫性疾患 手術なし 手術・処置等2なし」となっています。全身性エリテマトーデス、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎など自己の免疫障害により血管・血流障害等が引き起こされた症例に対し、薬物療法を中心とした治療を行った症例が中心となっています。平均在院日数は全国平均より若干長くなっています。
解説
外科にて平成29年度に最も多かった疾患は「結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし」となっています。大腸がんでの開腹及び腹腔鏡下での結腸切除術症例が中心となっています。手術手技としては開腹によるものが4%、腹腔鏡下によるものが96%となっており、腹腔鏡下手術による割合が年々増加しています。がんの発症部位は回盲部が6件、上行結腸が11件、横行結腸が6件、下行結腸が2件、S状結腸が6件となっていました。
2番目に多かった疾患は「胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等」となっています。症例としては胆のう結石症に対し、腹腔鏡下で摘出を行った症例が中心となっています。平均在院日数は全国平均とほぼ同数となっています。
3番目に多かった疾患は「乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等2なし」となっています。乳がんに対し乳房部分切除術を行った症例が中心となっています。手術手技としては、大胸筋と小胸筋をともに温存しながら乳房切除を切除し、かつ腋窩部のリンパ節を切除した症例が16件、ハルステッド法による切除を行った症例が3件となっています。
4番目に多かった疾患は「虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等」となっています。急性虫垂炎での開腹及び腹腔鏡下での虫垂切除術症例が中心となっています。手術手技としては開腹によるものが10件、腹腔鏡下によるものが9件となっており、腹腔鏡下手術による割合が年々増加しています。
5番目に多かった疾患は「胃の悪性腫瘍 胃切除術 悪性腫瘍手術等 手術・処置等2なし」となっています。胃がんでの開腹及び腹腔鏡下での胃切除術症例が中心となっています。手術手技としては開腹によるものが6件、腹腔鏡下によるものが12件となっています。がんの発症部位は胃体部が10件、幽門前庭部が6件、その他が2件となっていました。
尚、外科で最も手術症例数の多かったヘルニア手術目的での入院については、今回の集計の対象から除外されています。
解説
整形外科にて平成29年度に最も多かった疾患は「股関節大腿近位骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等」となっています。症例としては大腿骨骨折の患者さんに対し、骨折観血的手術(大腿)もしくは人工骨頭挿入術(股)を行った症例が中心となっています。骨折観血的手術(大腿)と人工骨頭挿入術(股)の割合は骨折観血的手術(大腿)が70件、人工骨頭挿入術(股)が29件、その他手術が5件となっています。全国平均よりもやや平均在院日数は長くなっています。主たる転院先は近隣の回復期病棟へのリハビリ目的での転院となっています。
2番目に多かった疾患は「股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等」となっています。変形性股関節症や突発性の大腿骨の壊死などで人工関節再置換術を行った症例が中心となっています。
3番目に多かった疾患は「胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 定義副傷病なし」となっています。胸椎及び腰椎の圧迫骨折への症例が中心となっています。リハビリ目的で40%の患者さんが近隣の回復期病棟などに転院しています。
4番目に多かった疾患は「前腕の骨折手術あり副傷病なし」となっています。橈骨及び尺骨もしくは橈骨尺骨の骨折への骨折観血的手術症例が中心となっています。
5番目に多かった疾患は「膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等」となっています。変形性膝関節症への手術目的での入院症例が中心となっています。
解説
産婦人科にて平成29年度に最も多かった疾患は「子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし」となっています。子宮頚癌、子宮体癌、子宮内膜癌の患者さんに対して特定の抗癌剤(アバスチン)以外を使用し化学療法を行った症例となります。
2番目に多かった疾患は「子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等」となっています。症例としては子宮筋腫での開腹による子宮全摘術目的での入院が中心となっています。平均在院日数は全国平均とほぼ同数となっています。
3番目に多かった疾患は「卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 子宮附属器悪性腫瘍手術(両側)等 手術・処置等2なし」となっています。症例としては卵巣がんの患者さんに対し開腹による子宮附属器悪性腫瘍手術目的での入院が中心となっています。
4番目に多かった疾患は「流産」となっています。稽留流産という、妊娠22週未満で胎芽あるいは胎児が死亡してしまっているにもかかわらず特に症状がなく子宮内に留まってしまった疾患に対して流産手術を行った症例です。
5番目に多かった疾患は「卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 開腹によるもの等」となっています。症例としては卵巣のう腫・卵巣腫瘍などの患者さんに対し開腹により卵巣と卵管を摘出する手術目的での入院が中心となっています。
尚、産婦人科で最も症例数の多かった早産・切迫早産、骨盤位、既往帝切後分娩目的などでの入院については、今回の集計の対象から除外されています。
解説
小児科にて平成29年度に最も多かった疾患は「急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 定義副傷病なし」となっています。ウイルス気管支炎などの疾患に対し点滴・吸入を中心とした治療を行った症例が中心となっています。RSウイルスによるものが9件、その他の急性気管支炎が38件となっていました。
2番目に多かった疾患は「肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし」となっています。症例としては小児肺炎・急性気管支炎の患者さんに対し、点滴・吸入を中心とした治療を行った症例が中心となっています。平均在院日数は全国平均とほぼ同数となっています。
3番目に多かった疾患は「上気道炎」となっています。急性咽頭炎、急性上気道炎などの疾患に対し点滴・吸入を中心とした治療を行った症例が中心となっています。急性気管支炎よりも平均年齢はやや高めになっています。
4番目に多かった疾患は「ウイルス性腸炎 手術・処置等2なし」となっています。腸炎に対し補液などの薬物治療を行った症例が中心となっています。ノロウイルスによるものが6件、ロタウイルスによるものが5件、その他の感染性胃腸炎が8件となっていました。
5番目に多かった疾患は「妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし」となっています。新生児黄疸や新生児一過性多呼吸、新生児低血糖など出生直後の新生児疾患が中心となっています。平均在院日数は全国平均とほぼ同数となっています。
尚、小児科で最も症例数の多かった食物アレルギーでの入院については、今回の集計の対象から除外されています。
解説
眼科にて平成29年度に最も多かった疾患は「黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし」となっています。網膜前膜・黄斑円孔などの疾患に対し硝子体茎顕微鏡下離断術および水晶体再建術を行った症例が中心となっています。全国平均よりもやや平均在院日数は長くなっています。
2番目に多かった疾患は「緑内障 手術あり 片眼」となっています。緑内障の患者さんに対して緑内障手術を行った症例が中心となっています。手術手技としては流出路再建術が15件、濾過手術が5件、その他が2件となっています。
3番目に多かった疾患は「糖尿病性増殖性網膜症 手術あり 手術・処置等2なし 片眼」となっています。糖尿病性増殖性網膜症の患者さんに対して硝子体茎顕微鏡下離断術などを行った症例が中心となっています。うち網膜付着組織を含む手技をおこなったものが12件となっています。
4番目に多かった疾患は「網膜剥離 手術あり 片眼」となっています。網膜剥離の患者さんに対して網膜光凝固術、網膜復位術などを行った症例が中心となっています。全国平均よりもやや平均在院日数は長くなっています。
5番目に多かった疾患は「黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし」となっています。1番目の症例と同じ疾患なのですが、違いは、手術が硝子体茎顕微鏡下離断術のみで水晶体再建術を行わなかった症例であるというところです。
尚、眼科で最も手術症例数の多かった白内障手術目的での入院については、今回の集計の対象から除外されています。
解説
耳鼻いんこう科にて平成29年度に最も多かった疾患は「慢性副鼻腔炎」となっています。慢性副鼻腔炎に対し内視鏡下に鼻・副鼻腔手術を行った症例が中心となっています。平均在院日数は全国平均とほぼ同数となっています。
2番目に多かった疾患は「扁桃、アデノイドの慢性疾患」となっています。症例としては扁桃炎の患者さんに対し、口蓋扁桃手術により摘出を行った症例が中心となっています。全国平均よりもやや平均在院日数は短くなっています。小児の患者数が比較的多く、平均年齢が低くなっています。
3番目に多かった疾患は「扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし」となっています。急性咽頭喉頭炎、急性上気道炎急性扁桃炎などの疾患に対し点滴・吸入を中心とした治療を行った症例が中心となっています。
4番目に多かった疾患は「甲状腺の悪性腫瘍 甲状腺悪性腫瘍手術 切除等 手術・処置等2なし」となっています。甲状腺がんの患者さんに対して甲状腺悪性腫瘍手術を行った症例となります。手技としては片葉のみの切除が2件、甲状腺切除が6件、全摘が2件となっていました。
5番目に多かった疾患は「前庭機能障害 手術なし」となっています。メニエール病や迷路性めまいの患者さんに対して点滴治療を行った症例が中心となっています。
解説
泌尿器科にて平成29年度に最も多かった疾患は「水腎症(その他) その他の手術あり 定義副傷病なし」となっています。尿管狭窄を伴う水腎症の患者さんに対して経尿道的尿管ステント留置術を行った症例が中心となっています。全国平均よりもやや平均在院日数は短くなっています。
2番目に多かった疾患は「上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術等 手術・処置等1なし 定義副傷病なし」となっています。尿管結石症や腎結石症に対し経尿道的に結石の除去術手術を行った症例が中心となっています。
3番目に多かった疾患は「膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1なし 手術・処置等22あり 定義副傷病なし」、4番目に多かった疾患は「膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし」となっています。膀胱がんに対し経尿道的に膀胱腫瘍摘出手術を行った症例が中心となっています。同じ膀胱がんの手術治療でも、前者は術後に化学療法ありの症例、後者は化学療法なしの症例となっています。
5番目に多かった疾患は「前立腺肥大症等 経尿道的前立腺手術」となっています。加齢による前立腺肥大の患者さんに対し手術を行った症例が中心となっています。
尚、泌尿器科で最も症例数の多かった前立腺がんの検査目的での入院については、今回の集計の対象から除外されています。
解説
皮膚科にて平成29年度に最も多かった疾患は「帯状疱疹」となっています。ヘルペスウイルスにより引き起こされる帯状疱疹による点滴入院が中心となっています。
2番目に多かった疾患は「急性膿皮症 手術なし」となっています。症例としては蜂巣炎・蜂窩織炎などによる点滴入院が中心となっています。全国平均とほぼ同数の在院日数となっています。
3番目に多かった疾患は「皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2なし」となっています。皮膚癌に対し切除術を行った症例が中心となっています。
4番目に多かった疾患は「詳細不明の損傷等 手術なし 手術・処置等2なし」となっています。蜂刺されによるアナフィラキシーショックによる入院が中心となっています。
5番目に多かった疾患は「急性膿皮症 手術あり 手術・処置等1なし」となっています。症例としては蜂巣炎・蜂窩織炎などによる皮膚の膿瘍に対し皮膚切開をおこなった症例が中心となっています。
3番・4番・5番の症例については年間10件以下の発生件数でした。
Ⅲ 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
(※)1=「UICC TMN分類」 (2)=「がん取り扱い規約」
解説
がんを含む腫瘍病変は新生物疾患として分類され、当院でも最も患者数が多い疾患となっています。
なかでも悪性新生物、いわゆるがんは、UICC(国際対がん連合)により取り決められた「UICC TMN分類」という手法や、各学会により取り決められた「癌取扱い規約」を用い、進行度合をStage分類として表示します。今回の集計では「UICC TMN分類第7版」を用いて分類をおこなっています。TMN分類のTはがんが組織のどのあたりまで進んでいるのかという壁深達度を(原発腫瘍)、Nはがんが発生した臓器の所属するリンパ節への転移の有無を(所属リンパ節転移)、Mは発生臓器から離れた転移の有無(遠隔転移)を示し、3項目の組合わせによりStage分類を行っています。
5大がんの初発患者はUICCのTNMから示される病期分類による患者数を、再発患者(再発部位によらない)は期間内の患者数として表示しています。
尚、今回の集計ではStage0と診断された症例はカウントから除外しています。
再発を含んだ件数で最も多かったがんは大腸がんで、続いて肺がん、胃がん、肝がん、乳がんとなっています。この順位は前年度と同様ですが、件数としては肺がんが75件、大腸癌が51件と大きく増となっています。
初発のみの件数で最も多かったがんは肺がんで、続いて大腸がん、胃がん、乳がん、肝がんとなっています。
当院において発見、初回治療された初発患者の病期をみると、胃癌についてはStageⅠの割合が高く、病期の早期のうちに診断され内視鏡による手術が行われているケースが多いです。またStageⅣと診断された症例については化学療法を中心に治療が行われています。大腸癌についてはStageⅡもしくはStageⅢでの少し進んだ状態で発見され、腹腔鏡を中心とした手術療法が行われています。乳癌はStageⅠ~Ⅱの割合が高く、病期の早期のうちに診断され外科的療法を中心とした治療が行われています。肺癌については病期の早期のうちに診断され、他院に紹介され外科的療法を中心とした治療が行われている一方、StageⅢ・Ⅳの進行癌で発見され化学療法や緩和ケアを中心とした治療が行われる割合も高いのが特徴です。肝癌は肝炎ウイルスの治療などにより初発患者が減少していますが、再発患者の治療が多く行われているのが特徴です。
Ⅳ 成人市中肺炎の重症度別患者数等
解説
肺炎は病原体感染により肺実質が炎症した状態をいいます。また、基礎疾患のない健康人に発症した肺炎を市中肺炎といい、逆に入院中の院内感染により発症した肺炎を院内肺炎といいます。また、高齢者や脳梗塞の後遺症による影響から、唾液や食物、胃液などと口腔内の細菌を一緒に誤嚥して発症する誤嚥性肺炎と呼ばれる肺炎があります。
ここでは20歳以上の成人に発症した市中肺炎について重症度別に表示しています。また前出の誤嚥性肺炎の症例も除外された件数となっています。重症度はA-DROPスコアという判定方法を使用しています。これは、罹患した患者さんの年齢(男性70歳以上、女性75歳以上)が何歳か、脱水症状はあるか、呼吸状態はどうか、意識状態はどうか、血圧状態はどうか、の5項目を観察し、5段階評価で分類する方法です。これを5点満点で1項目該当すれば1点とし、0点を軽症、1~2点を中等症、3点を重症、4~5点の場合を超重症としています。
当院での平成29年度の実績は80歳代の中~重等症の患者さんが中心で、平均在院日数は中等症が15日、重等症が24日となっています。中等症の平均在院日数は全国平均との差異はそれほどありませんが、重等症の平均在院日数は全国平均と比べ若干長くなる傾向がありました。細分類としては75歳以上でA-DROPスコア2点の中等症症例数が最も多く39件、75歳以上でA-DROPスコア1点の中等症症例数が29件、75歳以上でA-DROPスコア3点の重症症例数が23件、75歳以上でA-DROPスコア2点かつ心不全などの疾患を発症した中等症症例数が14件となっており、75歳以上の高齢者の肺炎による入院が中心となっていました。
診療科としては総合内科、消化器内科、循環器内科、呼吸器内科での入院が中心となっています。初期治療として抗生剤や補液による薬物治療、場合によっては酸素吸入などの呼吸管理が行われています。
Ⅴ 脳梗塞のIDC10別患者数等
解説
脳の血管が狭窄や閉塞など、何らかの理由で血流が阻害され酸欠・栄養不足に陥り、その結果脳組織が壊死してしまった状態を脳梗塞といいます。入院中に最も医療資源を投入した傷病名をICD-10コードを用い脳梗塞に関連する病名を集計しています。
当院での脳梗塞の平成29年度の発生率は全退院患者のうち2.3%であり、前年度とほぼ同数となっています。
脳梗塞としての内訳は、頭蓋内の血管が動脈硬化をきたすことにより生じるアテローム血栓性脳梗塞が63件、不整脈により心臓内で形成された血栓により脳血管が閉塞する心原性脳塞栓症が45件、脳深部の非常に細かい血管が閉塞することで生じるラクナ梗塞が16件、その他が4件となっています。
大半はエタラボンという脳塞栓用剤を投与し、後遺障害があればリハビリテーションによる理学療法をおこないますが、超急性期症例には発症後4時間以内で投与可能なt-PAの静脈内投与による血栓溶解療法も行われます(平成29年度5症例)。
細分類としては発症後3日以内の急性期の脳梗塞かつ入院時の意識が鮮明で、発祥前に症状がほぼなかったケースでの入院でエタラボンを用いて治療をおこなった症例が40件、前出のケースと同内容も入院中に肺炎や尿路感染症、不整脈などの治療を併せておこなった症例が20件となっています。
転院先としては治療後のリハビリテーション目的のために、近隣の回復期病床への転院が中心となっています。
Ⅵ 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
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解説
消化器内科の手術の特徴としては、内視鏡を用いた手術と、放射線科と連携し、IVR(画像下治療)で行われる治療が多いのが特徴です。
消化器内科で最も多かった手術は大腸ポリープに対し、内視鏡下でポリープ切除を行う「内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術長径2センチメートル未満」でした。前年度と比較し32件増となっています。
2番目は「血管塞栓術」といい、肝がんに対し、カテーテルを血管から挿入し、X線透視下に目標とする血管まで進め、この血管を特殊な物質で遮断し、がん細胞を死滅させる目的の手術になっています。
3番目は「内視鏡的胆道ステント留置術」といい、胆管炎や胆管癌により引き起こされる胆道狭窄に対し、内視鏡によりチューブを胆管内に留置し胆汁が腸管に流れるようにする手術となっています。
4番目は「内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術」(ESD)といい、早期の胃癌・十二指腸癌に対し、内視鏡により病変部を粘膜下層まで切除を行う手術となっています。
5番目は「早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術」といい、早期の大腸癌に対し、内視鏡により病変部を粘膜下層まで切除を行う手術となっています。
解説
循環器内科の手術の特徴としてはアンギオグラフィー(血管造影)といい、一般的に手首や大腿鼠径部などの血管からカテーテルと呼ばれる管を挿入し、血管の内部に造影剤を注入し、血管の形状や走行などを視覚的に検査・治療を行う手法を用いた手術が中心となっています。基本的には冠動脈という、心臓に栄養を送る血管に対する治療が中心となっていますが、最近では丹後医療圏で唯一の専門科である腎臓内科と連携した下肢の動脈への手術も増加しています。
循環器内科で最も多かった手術は狭心症や心筋梗塞に対して行う「経皮的冠動脈ステント留置術」でした。非開胸で経皮的に冠状動脈の狭窄を解除する手術です。「ステント」とは組織を支持する装置という意味で、バルーンにより狭窄部を拡張後、内腔側からステントで補強する方法になります。平成29年度より近隣病院でも同手術が行われるようになり、症例数としては前年度よりも10件減となっています。
2番目は前出の「経皮的冠動脈ステント留置術」のうち、緊急で、不安定狭心症に対して実施された症例になります。不安定狭心症とは労作性狭心症の発作頻度、発作強度、発作持続時間が増強した場合、狭心症が1ヶ月以内に新規発生した場合の診断名です。不安定狭心症は心筋梗塞に移行しやすく、高度かつ広範な心筋虚血の遷延から突然死にいたるリスクが高く、迅速に診断・治療を進める必要性の高い疾患です。当院では平成28年度より救急部門に生態情報モニターシステムを導入し、急性冠症候群の疑いのある症例に対し、迅速に診断・治療が行えるよう、体制の強化を行っています。本手術は緊急性の高い処置であり、症例数としては前年度と同数となっています。
3番目は「四肢の血管拡張術」といい、主に下肢の動脈が閉塞する下肢閉塞性動脈硬化症に対し経皮的に狭窄部を貫通、拡張する手術となっています。
4番目は「経皮的シャント拡張術・血栓除去術」といい、慢性腎不全で血液透析を行っている患者さんに造設された内シャントが狭窄・閉塞を起こし透析が困難となった場合に再造設の為に行われる手術です。「シャント」とは血液が本来流れるルートとは別のところを流れる状態の事であり、内シャントは血液透析時、スムーズに脱血できるよう人工的に造られたブラッドアクセスの事です。平成29年度より近隣病院でも同手術が行われるようになり、症例数としては前年度よりも9件減となっています。
5番目は「ペースメーカー移植術経静脈電極の場合」といい、主に不整脈や心房細動に対し、経皮的に心臓に電気刺激を与えて心拍動を起こさせる装置を埋め込む手術となっています。
解説
外科の手術の特徴としては、がんなどの病変に対し開腹術や腹腔鏡下にて切除・除去を行う手術が中心となっています。腹腔鏡下術とは腹部にポートと呼ばれる筒状の器具を挿入する穴を数ヶ所開け、内部を写す腹腔鏡と呼ばれるカメラを挿入し、映像をモニターで観察しながら鉗子やメスを操作して病変を切除・除去する手術のことです。開腹手術よりも出血量が少なく、腸管の開腹も早く術後の主な合併症である癒着が少ない、などのメリットがあります。ただ病変が大きい場合には切除仕切れないケースがあり、こういった場合には開腹による手法が選択されています。
外科で最も多かった手術は成人の鼠径ヘルニアに対して行う「ヘルニア手術」でした。症例数としては前年度よりも16件減となっています。
2番目は「腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術」といい、腹腔鏡下に切除を行う手術です。結腸とは大腸の事で、盲腸部から直腸上部までの区間を指します。結腸悪性腫瘍切除術としては開腹によるものが14件となっており、腹腔鏡下によるものが最近では増加傾向にあります。腹腔鏡下による手術は前年度と比較し11件増となっています。
3番目は「腹腔鏡下胆嚢摘出術」といい、胆嚢炎・胆のう結石などの患者さんに対し腹腔鏡下に行われる手術です。胆嚢摘出術としては開腹によるものが6件となっていました。
4番目は「腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術」といい、前出の成人の鼠径ヘルニアに対して行う「ヘルニア手術」を開腹ではなく腹腔鏡下でおこなった症例でした。前年度よりも15件増となっていました。
5番目は「乳腺悪性腫瘍手術乳房切除術」といい、乳がんに対し乳房部分切除術を行った症例が中心となっています。前年度よりも8件増となっていました。
解説
整形外科で最も多かった手術は骨折部を直接手術的に開いて整復と内固定を行う「骨折観血的手術上腕、大腿」でした。内訳としては76件が大腿骨、20件が上腕骨に対し行われたものでした。
2番目は「人工関節置換術肩、股、膝」といい、変形性膝関節症、変形性股関節症などの患者さんに対し人工関節により再建を行う手術です。内訳としては29件が膝関節、43件が股関節、1件が肩に対し行われたものでした。前年度よりも24件増となっていました。
3番目は「関節内骨折観血的手術肩、股、膝、肘」といい、骨折線が骨の関節を構成する部分まで及んでおり、転位、変形が生じて関節機能に障害を残しそうなとき、手術的に整復を行う処置です。内訳としては6件が膝関節、15件が股関節、13件が肘、1件が肩に対し行われたものでした。
4番目は「骨折観血的手術前腕、下腿、手舟状骨」といい、骨折部を直接手術的に開いて整復と内固定を行う手術です。内訳としては18件が前腕、13件が下腿、1件が手舟状骨に対し行われたものでした。
5番目は「人工骨頭挿入術、肩、股」といい、肩関節の上腕骨頭、股関節の大腿骨頭が壊れ、骨頭を保存しての治療が難しいとき、これを金属の骨頭に入れ替え関節機能を取り戻させる手術です。内訳としては30件が股関節、1件が肩関節に対し行われたものでした。
解説
産婦人科の手術の特徴としては帝王切開術などの婦人科領域の手術と、子宮全摘術などの婦人科領域での手術の2つの領域の手術が行われている事です。婦人科領域の手術について前年度は開腹での手術が上位にきていますが、腹腔鏡下での手術も年々増加しています。
産婦人科で最も多かった手術は、1回以上帝王切開で分娩したことのある妊婦さんや切迫早産妊娠、骨盤位などに対して予定的に行う「帝王切開術(選択帝王切開)」でした。
2番目は「帝王切開術(緊急帝王切開)」といい、予定的に行う「帝王切開術(選択帝王切開)」に対し、前期破水や潜在胎児仮死などの場合に緊急的に行う手術です。前年度よりも4件増となっていました。
3番目は「子宮全摘術(開腹)」といい、子宮筋腫などの患者さんに対し開腹により、子宮に付着する各靱帯や子宮支帯を細かく分離する事なく子宮ぎりぎりで切断する手術です。
4番目は「吸引娩出術」といい、分娩第2期(子宮口全開大から胎児娩出まで)の胎児機能不全や遷延分娩に対して吸引カップを児頭先進部に装着し、陣痛発作に合わせて陰圧により牽引させる急速遂娩術です。
5番目は「子宮附属器悪性腫瘍手術(両側)」といい卵巣癌、卵管癌の患者さんに対し開腹により腫瘍を摘出する手術です。
解説
眼科で最も多かった手術は白内障の患者さんに対して行う「水晶体再建術眼内レンズを挿入する場合その他のもの」でした。
2番目は「硝子体茎顕微鏡下離断術網膜付着組織を含むもの」といい、増殖性糖尿病性網膜症や網膜剥離、網膜前膜などの患者さんに行われるわれる硝子体茎離断術のうち、網膜付着組織の切除も含むものでした。前年度よりも26件増となっていました。
3番目は「硝子体茎顕微鏡下離断術(その他)」といい、前出と同じ目的で行われる硝子体茎離断術でした。
4番目は緑内障に対し、房水の流れるルートを開放して眼圧を下げることを目的とする「緑内障手術(流出路再建術)」でした。
5番目は緑内障に対する「緑内障手術(濾過手術)」でしたが、平成29年度については10件以下の症例件数でした。
解説
耳鼻いんこう科で最も多かった手術は「口蓋扁桃手術摘出」といい、扁桃腺の肥大したの患者さんに対して口蓋扁桃の摘出を行う手術でした。
2番目は何らかの原因により副鼻腔に膿の溜まった状態である慢性副鼻腔炎の患者さんに対し、内視鏡下にて副鼻腔の排泄腔の拡大や病変の除去を行う「内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅲ型選択的複数洞副鼻腔」という手術でした。
3番目は慢性副鼻腔炎に対する「内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅳ型(汎副鼻腔手術)」、4番目は慢性中耳炎の患者さんに対し行われる「鼓室形成手術」、5番目は甲状腺がんに対する「甲状腺悪性腫瘍手術(切除)」でした。これらの手術については年間10件以下の症例件数でした。
解説
泌尿器科で最も多かった手術は、尿管結石などにより尿管狭窄という尿道が狭くなり排尿障害の状態を引き起こした患者さんに対して、尿道からバルーンを挿入し拡張したり、ビックテイルの太いカテーテルを留置して尿管内腔を確保するために行う「経尿道的尿管ステント留置術」でした。
2番目は「膀胱悪性腫瘍手術経尿道的手術電解質溶液利用のもの」といい、早期に内視鏡で発見された、浸潤性でない膀胱癌の患者さんに対し、尿道から内視鏡を挿入し切除をおこなう手術でした。
3番目は「経尿道的尿路結石除去術レーザーによるもの」といい、尿管結石症の患者さんに対し尿道から内視鏡を挿入しレーザーにより破砕除去を行う手術です。
4番目は「経尿道的前立腺手術電解質溶液利用のもの」といい、老化により引き起こされる前立腺肥大症の患者さんに対し尿道から内視鏡を挿入し電気メスにて肥大した前立腺の切除を行う手術でした。
5番目は「腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術」でしたが、平成29年度については10件以下の症例件数でした。
Ⅶ その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
解説
播種性血管内凝固症候群(以降DIC)は、様々な基礎疾患を原因として全身の小血管内に血液凝固異常から血栓を形成し、それにより凝固因子が消耗され、血小板、フィブリノゲンなどが著しく低下し、皮下出血、吐血などの消化管出血や多臓器不全を引き起こす病気です。原因となる疾患は肺炎などの感染症、がん、妊娠、出産時、火傷などがあげられます。平成29年度のDICの発生率は全退院患者に対し0.5%でした。
敗血症は、肺炎や腎盂腎炎など体のある部分で引き起こされた感染症から病原菌が血液中に入り込み、重篤な全身症状を引き起こす病気です。平成29年度の敗血症の発生率は0.65%でした。
手術・処置等の合併症の平成29年度の発生率は0.76%でした。大半は透析用のシャント狭窄・閉塞による定期的な再手術症例でした。
合併症の発生率について、DIC、敗血症とも全国の平均発生率と比較しても低い数値でした。
当院では合併症を起こさないように病院全体で取り組みを行っております。ですが、残念ながら手術や処置においては一定の割合で合併症は生じてしまいますので、手術や処置を実施する前には患者さんに充分に説明し、合併症の可能性についてご理解いただくように努力しています。
更新履歴
- 平成29年度北部医療センター病院指標を公開しました。(2018/09/30)
- 平成28年度北部医療センター病院指標を公開しました。(2017/09/29)
- 平成27年度北部医療センター病院指標を公開しました。(2016/09/29)